2012年3月13日火曜日

睡眠と記憶固定

論文タイトル

メモリーリプレイと記憶の固定化

URL

http://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/47/6/47_368/_article/-char/ja

執筆者

龍野 正実

キーワード

メモリーリプレイ,場所細胞,テンプレートマッチング,同時確率マッピング海馬,大脳新皮質,脳波,レム睡眠,ノンレム睡眠

要約(日本語)

多細胞同時記録法を用いた研究.ラットのメモリーリプレイと睡眠の種類,異なる皮質間での関係を研究例を総説として紹介している.睡眠時のラットの神経細胞を多細胞同時記録法で記録することで神経細胞同士の発火同期を分析する.メモリーリプレイとは眠っているときに,覚醒時の記憶を再生して記憶を定着させる現象を指す.
まず,睡眠の種類とメモリーリプレイの関係である.神経細胞の発火同期率などから,ノンレム睡眠のときにメモリーリプレイが起こるという報告が多くある.それに対して,レム睡眠中に起こることを報告している研究が少ない.
次に海馬と大脳新皮質の関係に関する研究を紹介している.それによると海馬でリップル活動という脳波形の出現タイミングから,睡眠中に海馬から大脳新皮質へと情報が送られて固定化されるとしている.
筆者は数時間から数日の長時間にわたる神経細胞の活動記録を行った実験報告が少ないことを,心理実験の知見との整合性がとれない問題の理由に挙げている.ノイズの影響を軽減するのに十分なサンプル数を確保できないためである.

要約(英語)

批評(日本語)

海馬と大脳新皮質が直接接続していないことと,海馬で発生したパターンが少し後に皮質で発生するという結果を統合すると,恐らく中継を行っている部位がある.メモリーリプレイその中継部位の働きを加味している記述がない.もしかしたら記憶の固定化が起こるのはその中継部位で皮質はただメモリーリプレイに伴う(固定化を伴わない)生理反応かもしれない.記憶が皮質に固定かするかは,筆者が述べる数日よりも長いスパンで,シナプスの結合強度の変化など記憶に関わる部位の変化を観察しなければ行けない.

批評(英語)

感想

やはり4電極により多細胞同時記録法は100個程度の神経細胞の記録を取れるとしている.2007年でこの数だから今もあまり変わらないのか?多分数理処理で電気信号が発生した位置も同定可能だろう.となるとこの方法の問題点は細胞を殺してしまう可能性が高いこと.長時間の記録ができないのもその影響じゃないかと勝手に推測する.もう一つは電気信号以外のデータが取れないので細胞の種類が同定できないこと。あとノイズの処理も問題になるみたい.
個人的にはノンレム睡眠のときに記憶の固定化が起こっているという実験結果がでていることに驚いた.脳が覚醒状態に近いレム睡眠のときに夢を見て記憶を固定するということをよく聞いていたからだ.確かに,その理論のはっきりした根拠は聞いたことが無い気がする.もしノンレム睡眠のときに記憶の固定化が起こるのだとしたら睡眠時間はあまり記憶の固定と関係ないのではないかと思った.睡眠時間が長くなるほど最後の方の睡眠が浅くなるのだから.だとしたら,一日8時間くらい寝ないと寝た気がしない自分は随分時間を無駄にしているような気分になる.
早く妥当な批評ができるようになりたい.そのため必要なのは十分な専門知識と思考力かな.思考力って曖昧だから,論文から実験過程を想像する力と,自分ならどうするか考えて疑問を持ちながら読む習慣.

bibtex

@article{龍野2007メモリーリプレイと記憶の固定化, title={{メモリーリプレイと記憶の固定化}}, author={龍野正実}, journal={生物物理}, volume={47}, number={6}, pages={368--377}, year={2007}, publisher={J-STAGE} }

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